デグーのチャームポイントである長い尻尾。お昼寝中にケージの外に尻尾が放り出されていたり、ルームメイトに齧られてもぼんやりしていたり、意外とデグー本人が雑に扱っていることがあって可愛いですよね。
ところが、やっぱりデグーの尻尾はデリケートでかなり切れやすい性質です。
本記事では、起きる確率が高い事故である「デグーの尻切れ」の対処法について書いていきたいと思います。
デグーの出血って滅多にみることがありませんからびっくりしますし、焦ってしまいますよね。
しかしそんな時こそデグー本人の様子をしっかりと観察し、適切なサポートをしてあげられるように、心の準備をしておきましょう……!
デグーがしやすい怪我「尾切れ」
デグーの尻尾は切れやすい構造です。例えば、リスの尻尾なんか有名ですよね。
外敵から逃げ延びる確率を上げるために、掴まれやすい尻尾はあまり頑丈に取り付けられていないのです。
そのため、ちょっとの拍子で尻尾が切れてしまったり、ズルッと抜けてしまうこともあります。
元々あったものが出血と共に無くなってしまうわけですから、飼い主さんの衝撃はかなりのものでしょう。「ウワーー!!」ですよね。
我が家のデグーは5匹中、1匹尻尾が切れていて、別の1匹は先端がプランプランと折れています。
しかしこのふたつの尻尾の怪我、飼い主が気が付かないところでひっそりと起こり、気づいた頃にはほぼ完治しているほどでした。(切れている子については、多分お迎え時点で切れていたのだと思う。)
デグーの尾切れ・尻尾の怪我は起こりやすいですが、多くの場合、デグー本人が気にせずに自然に治してしまうこともあるのです。
デグーの尾切れの原因あれこれ
デグーの尻尾が切れる要因はいくつか考えられます。
例えば飼い主さんが踏んだ、回し車に絡まった、ルームメイトに噛まれたなど、色々な原因で尾切れは起こり得ます。
デグーは尻尾に限らず、軽症の怪我であれば自力で治してしまいます。
実は尾切れも出血の少ない軽症であれば病院に行かずとも自然に治ります。
そこで、どんな状態の尾切れ・尻尾の怪我が重症なのか?という見極めが必要になってくるのですね。
▷病院?様子見?デグーが事故に遭った時の対処法を考える【誤飲・感電・落下・踏んじゃった】
デグーの尻尾切れた後はどうなる?病院では何するの?
デグーの尻尾は切れてしまった後、多くの場合、先端が露出している場合は壊死してぽろっと取れます。花の苗の葉をカットした数日後、切り口の茎が変色して取れるのに似ています。
体と繋がっている部分は、傷が治ってしばらくすると毛も生えてきます。
トカゲのように新たに尻尾が生えてくるとか、または病院に持っていけば接合手術ができるわけでもなく、切れたら切れ口を治しておしまい、という感じです。
炎症によっては尻尾をさらに短くカットする処置をする病院もあるようです。
尻尾の傷口に菌が繁殖してしまうと化膿して、デグーの体調が悪化してしまうこともあります。そのため、おうちでは尻尾を感染症を防ぎ、化膿させない対策、傷の治りを妨げないサポートが必要です。
デグーの尻尾が切れたらどうすればいい?
「あっ、デグーの尻尾が切れた!」と思ったら、まずはすぐに“砂浴びの砂をケージから撤去”します。
出血部分に砂がついてしまい、傷口にバイキンが入る原因になってしまいます。
新品の綺麗な砂でもおしっこを1度でもしていれば無菌とはいえませんので、傷が塞がるまでは砂浴びは我慢してもらいましょう。
ケージのレイアウトを安静バージョンに
さらにケージにちょっと頑張って登っているステージがあれば、中間にもうひとつステップを追加して登りやすくしてあげます。
力まなくても移動できるケージのレイアウトに変更して、なるべく安静に過ごせるようにしてあげましょう。
レイアウトを大幅に変えてしまうとデグーが混乱するので、手すりが必要ならつけるくらいの感覚で。
怪我をかばって動くことで他の部分を怪我してしまう “二次被害” を防ぐためにも、速やかに行います。
多頭飼いの場合はケージ分けがおすすめ
もし多頭飼いしている場合、ルームメイトが傷口をかじってしまうことがあります。
本人は加減がわかるので、痛くない程度に甘噛みできますが、ルームメイトは別に自分が痛いわけではないのでかなり思い切り齧るんですね。
これが喧嘩になることもありますし、当然衛生的にも芳しくないので、どちらかが怪我した場合はできるだけ別ケージにしてあげるのがおすすめです。
▷【デグーの多頭飼いトラブル】尻尾かじりについて解説。遊びなのかアウトレイジなのかで対処は変わる!
尾切れ・怪我の時の緊急ステップまとめ
ケージ環境を見直した後は、デグーの疲れ具合を見ながら、布系(ハンモック)などを清潔なものに交換。
これもおしっこによる雑菌繁殖を防ぐためです。
ステップを拭いたり、ケージをできる範囲で清潔にする作業を、デグーをよく休ませながらサッと行いましょう。
- 砂を撤去
- 大変そうなステップを楽に登れるよう補強
- ルームメイトにかじられないように隔離
- デグーを休ませる
- 布系アイテムを交換しつつステップなどを除菌
速攻病院に担ぎ込むのは待った!
怪我をしたとき「とりあえず移動ケージに放り込んで速攻病院では?!」と考える飼い主さんも少なくないと思います。
筆者もデグーが怪我するたびに「……病院か!?」と焦ります。
そんな時はまず落ち着いて、「病院に行ったとして、どんな処置ができるのか」を考えてみるのがおすすめです。
もちろん素人の考えですから、私たちが完全に予測することは不可能かもしれません。
動物病院に電話をして「今から行ったらどんな処置をする可能性があるか」聞いてみるのもいいと思います。
どうやらシンプルな尾切れであれば消毒と、抗生剤の処方。化膿や炎症が見られる場合はカット、という感じのようです。
参考(アリーズ動物病院『動物別症例集・デグーの尻尾切れ』)
デグーは病院に何しに行っているのか知りません。尻尾は痛えし、突然狭いところに入れて運ばれるしで踏んだり蹴ったり。よく考えれば、とんでもない1日ですよね。
「怪我した状態で移動する」というデグーの精神的なリスクと、病院での処置の価値を冷静に天秤にかけ、デグーの治癒力を信用して大丈夫か、病院に連れていくべきか判断するのをお勧めします。
状態によっては、ゆっくり休ませてあげるのもひとつの方法だと思います。
尾切れしたデグーを病院に連れて行ったほうがいい場合
とはいえ「傷はぜんぶ、舐めて治そう!」というわけにはいかないのはもちろんです。
病院でなければ処置ができない怪我だって当然ありますよね。ここからは「病院に連れて行った方が良いデグーの尾切れパターン」を紹介していきます。
デグーの尻尾からの出血が多い場合
デグーの怪我は、刺し傷のように深くない限りは大体20分程度で出血が止まります。
本人が舐めて止血したり、じっと血が止まるまで安静にしたりと「怪我をした時どうしたらいいか」はデグー本人が本能的によく知っているようです。しかし、出血の量が明らかに多い場合や、血が止まらない場合は危険です。
動物病院に電話して指示を仰ぎ、家でできる止血をして病院に行きましょう。
また、尾切れや怪我の後でやたら走り回っている場合も要注意。
熱中症などの時もそうなのですが、デグーは命がやばいと感じるとパニックになって走り回ることがあります。
そういえば、我が家でも出産直前のデグーが痛みで走り回っていましたね……。痛みによるショックは死因になることもあり得ます。
パニックになっている場合、見た目以上の怪我だと判断して病院に行った方がいいかも。
完全に切れておらず骨折している場合
デグーの尾切れは、毛の部分がスポンと抜けて白い骨が露出している状態がよくあります。
この場合、見た目はかなりびっくりするのですが、白い部分は次第に干からびてポロンと落ちるので案外そこまでの大事ではありません。
痛々しいからといって決して手持ちの薬などはつけずに、とにかくケージを清潔にして治るまでデグーの移動、睡眠、栄養をサポートするのがベスト。
完全に尻尾が切れない「脱臼」や「骨折」の場合、時間が経つと内部で炎症を起こしたり化膿することがあります。
怪我が皮膚の下で擦れて刺激になってしまうのだそうです。
派手にぷらぷらしている場合は病院に行くのが良いでしょう。場合によってはここでも尻尾をカットしてもらうことがあるようです。
傷口に不潔なものが触れていたり化膿の心配がある場合
おしっこやうんち、金属のサビなどに傷が触れてしまっている場合は化膿が心配です。
デグーの様子が落ち着いていて移動に耐えられそうであれば、動物病院に行って化膿止めや抗生剤を出してもらうのがいいと思います。
あと、傷口が大きい場合、傷の面積が広い場合も、患部が汚れる可能性が高まりますから、抗生物質を使った治療をうけられるかどうか、動物病院に相談してみるのがいいでしょう。
多くの軽い尾切れ・怪我はデグー本人の抵抗力で治してしまいます。
しかし、デグーが高齢で免疫力が落ちていたり、子供のデグーが怪我の対応に困っている様子の時は、病院に頼るとその後のおうちケアもしやすくなり、安心かと思います。
▷高齢デグーとの過ごし方。加齢で起きるデグーの変化と寿命までの介護