デグーのケージに欠かせないアイテムである“回し車”。
“ホイール” や “滑車” と呼ばれたりもします。
デグーの運動不足は健康を損なうもとになりますから、ケージの中でも元気に運動できるようにしてあげる必要があります。
本記事では、国内でデグーによく使われている回し車「サイレントホイール」と「メタルサイレント」を比較して紹介していきます。
デグーの回し車ライフを快適にするアイテムや、事故を防ぐための方法も考えていきたいと思います。
デグーの生活に回し車は必需品!
「デグーに回し車ってそもそも必要?」という意見をたまに見かけますが、必須だと思います。
野生のデグーは高原を走り回り、草を食べ、穴を掘り、たまに果実をこっそり食べたり、敵から捕食されそうになりながら色々と頑張って2年くらいで死んでいきます。
一方で飼われているデグーは、40〜80センチ幅のケージに安住して、ご飯も寝床も常に供給されます。人間で言えば3食・おやつ全てUber Eatsのデスクワークみたいなものですから、ケージ内での運動は欠かせません。
ハムスターが1日10キロ以上走行していると言われていますが、デグーも性質的には結構運動したい動物。
運動不足解消のためだけではなく、ケージ飼いのストレス解消のためにも回し車は必要です。
多頭飼いは回し車がふたつあってもいいかも
我が家では60ハイのケージが3台あり、2つは多頭飼いで1つは単頭飼いです。
多頭飼いの場合は回し車の取り合いで、小競り合いになることがよくあります。ヒートアップすると危なく見えますし、回し車に身体が挟まってしまう事故が起きる可能性が高まると感じました。
我が家では、回し車をひとつのケージに2台設置して、小競り合いにならないようにしています。
レイアウトを工夫して、宙に浮かせる形で設置すれば、ケージの地面が狭くなることもありません。
なぜか2台あるのにひとつを取り合っていることもありますがw 以前に比べればかなり平和になりました。
小さすぎる回し車はNG!
回し車は「デグー用」と銘打たれているわけではなく、小動物用から合ったサイズを選びます。
ペットショップのデグーによく見かける光景なのですが、回し車が小さすぎて身体を曲げて走っている状態……あれ可哀想ですよね。
慢性的に背骨を曲げて走るのは骨に悪影響がありますし、片方の足にばかり負担がかかってしまうこともあるでしょう。
デグーの回し車は「25センチ」がベスト、それ以上小さいと成体デグーは狭そうです。
ケージのサイズが大きかったり(狭くなるから)本人のパワーによっては(重くなるから)、一つ大きいサイズの32センチでもいいかもしれません。
ここからは、国内でデグー用に使われている代表的な回し車をふたつ取り上げていきます。
SNSを見ていると「使用率は半々くらいかな〜」という印象。どちらも長所、短所があるのでまとめます。
【鉄製】メタルサイレント
メーカー | 三晃商会 |
素材 | 鉄 |
サイズ | 25センチ(側面引っ掛けOK)・32センチ(直置きのみ) |
黒い鉄製で見た目がオシャレ。
我が家ではサイレントホイールとメタルサイレント両方購入して使っていましたが、今はメタルサイレントを使っています。
回転音がほぼせず、かなり軽いので体の小さいデグーでも簡単に回すことができます。が、回転部分に身体が挟まってしまう事故が起きる可能性があります。
海外のデグーコミュニティでこの回し車を見せると、怒られることもあるくらい。
分別ついた大人のデグーにおすすめの回し車です。
困るポイント
くるくるするスペースがメッシュ状になっているので、デグーが走りながら出したおしっこが遠心力で飛び散りますw
また怪我をしやすいと言われている形状。足がメッシュに挟まったり、多頭で別デグーが回している時に体を挟めてしまったりという事故が想定できます。
特に生後1年未満のデグーは、避けてあげた方が無難かも。
我が家では7年間、ほぼメタルサイレントを使っていますが、一度も怪我に至っていないのであまり気にしていない感じがありますが……。
産後の育児期間、生後3ヶ月未満の小デグがうじゃうじゃいる時期は、メタルサイレント絶対NGです。
5センチ程度のベビーデグーはあらゆる隙間に挟まりますからね!
お掃除方法
メタルサイレントは2つのパーツに分解することができます。筒状のメッシュ部分と、ケージに引っかけたりできる台座部分。
接合部のシルバーのベアリングには水をかけないように、筒状のメッシュ部分はザブっと洗えます。
塗装が剥げた部分が錆びやすいので、長持ちさせるためにも金属製のタワシやメラミンで擦るのは避けましょう。
こんなデグーにおすすめ
もう簡単には転ばない落下しない、分別ついた大人のデグー。
単頭飼いで、予期せぬ回転に巻き込まれることのないデグーであれば、メタルサイレントは静かで見た目もスッキリしていて手入れも楽なのでおすすめです。
巻き込まれ事故が起きないとも言えない構造なので、運動が苦手なデグーや、多頭飼いの場合は注意が必要。
体が小さいベビデグのケージに設置するのは絶対にNGです。
大人のデグーのメタルサイレント
【プラ製】サイレントホイール
メーカー | 三晃商会 |
素材 | プラスチック |
サイズ | 15・17・19・21・25・30・40センチ |
メタルサイレントよりも使用率が若干高いかな、という感じのサイレントホイール。
安全設計なので、ペットショップで勧められることが多く、小デグを迎えるときに購入して、そのままずっと使う飼い主さんが多いようです。
メタルサイレントよりは結構回転音がしますが、最悪にうるさいというほどではなく、地面に擦らないように設置すればそこそこ静かです。
「回転部分が噛み合わずひどい音がすると思ったら不良品だった」という飼い主さんもいましたから、もし該当する方は購入ショップに相談してみましょう!
サイレントホイールはサイズ展開が豊富で、ハムスターからチンチラまでカバーしています。
デグー用であれば25センチが妥当だと思います。それ以上小さいとデグーが狭いし、大きいとケージのスペースを圧迫してしまう感じ。
困るポイント
くるくる回るスペースが穴のないプラスチックでできているので、走りながら出したおしっこは飛び散りにくい設計です。
しかし、回し車の内側にかなりおしっこが溜まるのと、デグー本体が汚れますw 洗濯槽をイメージしていただけるとわかりやすいかもしれません。
▷デグー臭の傾向と対策!ズボラ飼い主の厳選消臭アイテム3つ紹介します
あと、容赦無くサイレントホイールを齧るデグーもいます。
これは、我が家で育児期間以外はサイレントホイールを使わない大きな理由のひとつです。
メッシュに挟まる予期せぬ事故よりも、毎日食べてしまうプラスチックの影響の方が恐ろしい……という。
お掃除も分解のはちょっと面倒なのですが、メッシュのように網目に汚れがつくことがないので「どこが汚れても拭けば取れる」という考え方もできます。
お掃除方法
サイレントホイールは大きく3つのパーツに分解できます。
回転部分が透明の輪のパーツと、白い皿みたいなパーツ・背面にあるベアリングの部分。
ベアリング部分はやはり水濡れ厳禁なので、拭くお掃除方法にしましょう。
回転パーツの結合部にめちゃくちゃおしっこが溜まります。外して洗って、が結構面倒かもしれません。
色が白いのでかなり汚れが目立ちますが、汚れを目視できるという意味ではいいかも。安全に、こまめな掃除で清潔に使える回し車です。
こんなデグーにおすすめ
↑これが旧型のサイレントホイールで、黄色いぽっちが見えています。
今販売されているのは先の画像で見ていただいた「サイレントホイールフラット」という商品で、デグーの背中にぽっちが当たらないように改良されたもののようです。
サイレントホイールの改良版!
サイレントホイールは子供のデグーや多頭飼い。プラスチックをかじることを知らない、純朴なピュアピュアデグーにおすすめです。
あと、ホイールのこまめな掃除ができる飼い主さんに最もおすすめ。
汚れが飛び散らないぶん、1日で結構汚れるので毎日軽い拭き掃除をするのが理想的。
デグーの回し車を快適にするアイテムを紹介
メタルサイレント用メンテナンスシート
メタルサイレントでブンブンごまみたいにおしっこが飛んでるぜ、という方に試していただきたいのが「メタルサイレント用メンテナンスシート」。
内側に装着するのでメッシュ部分に汚れがつかず、デグーの爪を削ってくれる効果もあります。
おしっこガードと爪削りに!
ただ、これもかじってしまうデグーが結構いますので、おしっこにお悩みの方は様子を見ながら設置してみてくださいね!
▷デグーはなぜおしっこを撒き散らすの?トイレを覚えるデグーについて、床や家具を尿から守る方法
回し車に潤滑オイルを使いたい!
どちらの回し車も同様なのですが、使っているうちに動きがスムーズでなくなったり、回転音が大きくなったりすることがあります。
こういう時は、ベアリング部分にオイルをさして回転をスムーズにしてあげるのが効果的。
万が一、彼らの口に入っても危険性の少ない「ペットの回し車用のオイル」を使ってあげるのが理想です。
我が家では、最初よく分からずにオリーブオイルを塗っていましたw
食用油は舐めても大丈夫だろう、ということだったのですが、酸化しやすいオリーブオイルはかえってサビの原因になってしまいました……。
今、我が家で回し車用のオイルとして使っているのが、電動髭剃りにさすシェーバーオイル。
はじめに家人が使っているのを見て、「おい、機械油じゃん!」って思ったのですが、調べてみるとシェーバーオイルの主成分は肌に触れても大丈夫な「流動パラフィン」。
これは、酸化しにくく水に溶けないオイルで、ベビーオイルにも使われている成分です。
流動パラフィンは胃・腸から吸収されることなく、動物への負担が少ないので、猫などの便秘治療に使われることもあります。口からの摂取も浣腸もどちらも大丈夫なのだそう。
参考:ねこのきもち「流動パラフィンについて教えてください」
じゃあベビーオイルじゃだめ?、という感じですが、ベビーオイルには植物性の酸化しやすい油も含まれていたりするし、髭剃りも回し車も、同じ金属に塗るということで、我が家ではベアリング部分のお手入れにシェーバーオイルを採用しています。